ツルウメモドキ
ツルウメモドキ | ||||||||||||||||||||||||
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ツルウメモドキ(果実)
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分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Celastrus orbiculatus Thunb. var. orbiculatus (1784)[3] | ||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
ツルウメモドキ | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Oriental staff vine, Japanese bittersweet |
ツルウメモドキ(蔓梅擬[5]、学名: Celastrus orbiculatus または Celastrus orbiculatus var. orbiculatus)は、ニシキギ科ツルウメモドキ属の落葉つる性木本。
名称
[編集]和名「ツルウメモドキ」は、つるになるウメモドキの意味であるが、ウメモドキはモチノキ科である[5]。中国名は「南蛇藤」[3]。
分布・生育地
[編集]日本を含め東アジア一帯に自生し、日本では北海道・本州・四国・九州・沖縄まで分布する[5]。低地や山地の山野に生え[6][7]、日当たりのよい林などに生育し、都市部の植え込みなどにも見られる。
北アメリカには緑化用に導入され装飾用にも使われたが、野生化し外来種として各地に広がり、森林を覆うなど問題となっている。北アメリカ在来種としては近縁の C. scandens があり、両種は交雑可能であるため特に遺伝子汚染が問題視されている。
特徴
[編集]落葉つる性の木本で、他の植物に絡みつく[6][5]。全体に無毛[7]。つるは、はじめはまっすぐに伸びるが、他の植物があると伸びやかにからまりながら右巻き(S巻き)へ巻き登り[8]、よく生長し他の木を覆うこともある。本年度のつるは緑色をしており、2年目以降は茎は木化して茶褐色になり、皮目が目立つようになって太くなっていき、他に巻き付くものがないと直径5センチメートル (cm) にもなる場合もある[8]。樹皮は灰褐色で、成木では粗く網目状に浅く割れる[7]。若い枝は赤褐色から灰色で短枝もでき、菱形の皮目がある[7]。一年枝の基部には古い芽鱗が残っていることも多い[7]。
葉は互生し、長さ5 - 10センチメートル (cm) の倒卵形から楕円形で[5]、葉柄は2 cm前後。葉縁には浅い鋸歯がつき、波型で丸い形状をしており、名の通りウメやウメモドキに似る。表面、裏面とも無毛で、全体に薄く紙質で、網目状の葉脈がある[9]。秋になると、やや薄い黄色から鮮やかな黄色に紅葉して葉が落ちる[6][8]。紅葉は条件がよいと濃い黄色に染まる[6]。
花期は5 - 6月[5]。雌雄異株[5]。葉腋から短い集散花序を伸ばして、黄緑色ないし淡緑色の数ミリメートル (mm) 程度の小さく地味な5弁花が多数咲く[5]。雄花は5個の雄蕊が目立ち、雌花は中心の雌蕊1個に、3裂した柱頭がつく[5][9]。
果期は秋(10 - 12月)[5]。雌株につく果実は蒴果で、秋に淡黄色に熟すと3つに裂開し、鮮やかな橙赤色の仮種皮に被われた種子が現れる[5][10]。種子は落葉後の冬場も残って橙赤色が目立ち[7]、鳥に食べられて散布される。
冬芽は茎に互生し、円錐形や球形で花芽は丸みがあり、6 - 10枚の芽鱗のうち外側2枚がやや開いている[7]。互生する側芽は先が尖るものがある[7]。葉痕には維管束痕が1個みられる[7]。
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雄花
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果実
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葉と果実
利用
[編集]果実は、葉が枯れても色鮮やかさを保つため、これが美しいので生け花などリースやインテリアの装飾用素材として使われる[5][9]。
近縁種
[編集]同属はアジア、オーストラリアからアメリカに分布する。日本には類似種としてオオツルウメモドキ(C. stephanotiifolius)[11]、イワウメヅル(C. fragellaris)などがある。
- オオツルウメモドキ(C. stephanotiifolius)
- オオバツルウメモドキ(C. kusanoi)
- リュウキュウツルウメモドキ(C. kusanoi var. glaber)
- テリハツルウメモドキ(C. punctatus)
- イワウメヅル(C. fragellaris)
脚注
[編集]- ^ 米倉浩司、邑田仁監修『維管束植物分類表』(初版)北隆館、2013年4月、78頁。ISBN 978-4-8326-0975-4。
- ^ 米倉浩司著 邑田仁監修『日本維管束植物目録』(初版)北隆館、2012年4月、130頁。ISBN 978-4-8326-0970-9。
- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Celastrus orbiculatus Thunb. var. orbiculatus ツルウメモドキ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年1月1日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Celastrus articulatus Thunb. ツルウメモドキ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年1月1日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l 西田尚道監修 学習研究社編 2009, p. 94.
- ^ a b c d 林将之 2008, p. 59.
- ^ a b c d e f g h i 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 213.
- ^ a b c 谷川栄子 2015, p. 48.
- ^ a b c 谷川栄子 2015, p. 49.
- ^ 菱山忠三郎監修 2011, p. 199
- ^ “日本のレッドデータ検索システム(ツルウメモドキ)”. エンビジョン環境保全事務局. 2012年1月10日閲覧。
参考文献
[編集]- 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、213頁。ISBN 978-4-416-61438-9。
- 林将之『紅葉ハンドブック』文一総合出版、2008年9月2日。ISBN 978-4-8299-0187-8。
- 菱山忠三郎 監修『樹皮・葉でわかる樹木図鑑』成美堂出版、2011年6月。ISBN 978-4415310183。
- 谷川栄子『里山のつる性植物 観察の楽しみ』NHK出版、2015年6月20日、48-49頁。ISBN 978-4-14-040271-9。
- 西田尚道監修 学習研究社編『日本の樹木』 5巻、学習研究社〈増補改訂 ベストフィールド図鑑〉、2009年8月4日、94頁。ISBN 978-4-05-403844-8。